海外マルシェみたいな魚屋「サカナバッカ」で産地直送の魚を堪能

sakana
(写真=PIXTA)

東京都内にオープンしている、青と白を基調にしたカフェや雑貨店を思わせる店構えの魚屋「sakana bacca(サカナバッカ)」をご存じでしょうか。従来の魚屋のイメージとは異なる雰囲気が、まるで「海外のマルシェのよう」と30代の女性を中心に人気を集めています。

スーパーなどに陳列される切り身の魚とは違い、産地直送の旬の魚が丸ごと並べられ、都心では普段お目にかかれないような希少な魚とも出会えます。これを実現しているのが、ITを駆使した新たな鮮魚の流通です。

地方と都心をつなぎ、生産者のモチベーションにも貢献しているというサカナバッカの革新的な取り組みを紹介しましょう。

日本の魚食文化を次世代に継承したい

現在、サカナバッカは東京都内に5店舗(武蔵小山、中目黒、都立大学、梅ヶ丘、戸越公園)があります。サカナバッカを運営しているのは、2013年4月に創業した株式会社フーディソンです。水産業界が抱える働き手の減少問題や消費者の魚離れに危機感を持ち、「産地のおいしい魚をもっと楽しく味わえる未来をつくりたい」という思いからサービスの提供を考えたといいます。

日本は国民1人当たりの魚介類供給量では世界有数といわれていますが、一方で、年々増加する肉類の摂取量に比べて、若い世代を中心に魚離れが進んでいる現実に直面しています。これに対し、サカナバッカではさまざまなアプローチで消費者の関心を高めています。

たとえば、魚の形がわかるように丸魚の状態で陳列するのもその一つです。魚の知識を広めるとともに、さばき方や調理法がわからない方にも、丸魚を見ながら店員と相談できるような体制を整えています。魚をおいしく食べるための調味料にもこだわり、全国各地から選りすぐった品を取り揃えるなど魚食文化を高める店づくりをしています。消費者にとっては、店員と相談しながら魚の食べ方を覚える楽しみもあるといえるでしょう。

ビジネスモデルが2015年グッドデザイン賞を受賞

対話を重視する販売方法は、生産者へのフィードバックという大きな役割も果たしています。これまでは、保存ができない鮮魚の販売では売れ残りを防ぐために、定番品を安く大量に仕入れるのが一般的とされてきました。サカナバッカでは消費者の声を需給バランスに生かしながら生産者や仲卸との提携を進め、従来は流通に乗らなかった魚の販売も可能にしたのです。

このビジネスモデルは、消費者に新たな価値観を提供し、水産流通全体にも貢献する取り組みとして2015年グッドデザイン賞を受賞しています。

地域とのネットワークで継続的に消費を拡大

フーディソンは地方創生の取り組みとして、2016年の夏に「駿河湾フェア」を開催しました。静岡市、焼津市、吉田町、牧之原市、御前崎市と協同し、都内5店舗のサカナバッカと契約飲食店で産地直送の魚を提供するという試みです。行政と漁業者、水産加工者、流通および小売・飲食店のそれぞれが連携し、地方のおいしい魚をもっと消費者に知ってもらい、食べてもらおうというイベントが行われました。

既存のアンテナショップとは異なり、産地直送の生の魚を実際に味わってもらうのが特長です。同時に消費者のモニタリング調査を行い、PRだけではなく次につながる動きがとられています。マーケティングリサーチと各業者間のネットワークができることで、将来的な消費量拡大にもつながる画期的な取り組みになるのではないかと期待されています。

IT活用で水産流通に革命の兆し

生産者と消費者をつないでいるのは、フーディソンが構築している「水産流通プラットフォーム」です。「魚」をデータ化し、価格決定やマッチング機能に加え、集荷・分荷、決済を簡略化したスピーディなシステムにより、全国の多種多様な水産物を新鮮かつ適正な料金で消費者に届けることを実現しています。

同社が提供している飲食店専門の発注システム「魚ポチ」には、築地や産地から届く1,500種類以上の水産物が揃い、1尾から注文できるサービスとなっています。漁獲量が少ない魚や消費者に人気がない魚は流通しにくいという既存の水産流通における問題点を解決できれば、生産者の安定収入を支えることにもつながるといえるでしょう。

海外のマルシェのようなおしゃれな魚屋で、実際に見て魚を選び、食べて魚を知る機会が増えることは、現在の魚離れという状況に変化をもたらすかもしれません。

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