天下りよりも川下り

川下り
(写真=PIXTA)

 先日、仕事で滋賀県の近江八幡に行く機会がありました。滋賀県と言えば、琵琶湖しか知らないという人が多いようですが、実は琵琶湖の面積は滋賀県全体の六分の一しかありません。戦国時代の遺構や古くは比叡山の天台密教等、歴史と文化にあふれた素晴らしいところです。

 そんな滋賀県の近江八幡市というのは琵琶湖の東に位置し、もとは豊臣秀次が築いた城下町だったそうです。「茨城県の潮来」、「福岡県の柳川」と並んで日本三大水郷の一つで、市内の堀や郊外に広がる水郷地帯はとても美しいところです。そんな水郷を巡るツアーに参加しましたが、船外機で航行するのではなくて船頭さんが手で艪を漕いで巡るという実にのんびりした風情の舟遊びです。

 そんな船旅ですれ違う船の船頭さん達を見ていると、比較的年配の方が多いのです。聞くところによると船頭さんの多くは60歳以上の方が多く、中には80歳近い人もいるとか。さらに興味深かったのは若い頃からずっと船頭さんをやっていた人だけではなく、勤め人をリタイアした方が、第二の職場としてこの川下りの船頭さんをやっている人もかなりいらっしゃるということでした。

 ある船頭さんは、高等学校の校長先生をやっていて退職後にこの仕事に就いたそうです。地方においては高校の校長と言えば地元の名士です。その先生も色んなところから「うちに来てほしい」というお誘いがあったのを全て断って船頭さんになったそうです。「わしゃ、“天下り”よりも“川下り”を選んだちゅうことや」-思わず拍手を送りたくなりました(笑)

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