地方創生特区とはなにか?秋田県仙北市が注目される理由とは?

仙北市

地方創生のモデルケースを目指すのが地方創生特区の目的

 2040年までに自治体の半分が消滅する可能性があると予測した日本創成会議のレポートが2014年に発表されたのをきっかけに、地方創生の取り組みが加速しています。

  2015年3月に政府の国家戦略特区諮問会議から戦略特区第2弾として、宮城県仙台市、愛知県、秋田県仙北市の3地域が発表されました。

 地域の活性化については、これまでも長期間にわたって多くの取り組みが行われてきましたが、地域経済全体としての停滞を解消するほどの成果は上げられなかったのが実情です。例えば、従来の公共事業や補助金による財政政策的な地域活性化策も、国や地方の財政難を考えると長期的な持続性に欠けることがわかってきました。

 そこで政府は、規制改革を中心とする「国家戦略特区」の枠組みを利用して「地方創生特区」を創設することを決め、地方創生のモデルケースを作ろうとしているのです。

 ちなみに、戦略特区第1弾は、2014年3月に6区域が指定されました。

 ・東京圏(東京23区のうちの千代田、中央、港、新宿、文京、江東、品川、大田、渋谷の9区、神奈川県、千葉県成田市)
 ・関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)
 ・新潟市
 ・兵庫県養父(やぶ)市
 ・福岡市
 ・沖縄県

3地域の特色と、唯一の過疎地域の仙北市が選ばれたわけ

 国家戦略特区に指定されるためには、自治体による提案が特区の指定基準を満たしていることが最初に求められます。それは、特区内における経済的社会的効果、国家戦略特区を超えた波及効果、プロジェクトの先進性・革新性、自治体の意欲・実行力、プロジェクトの実現可能性、そしてインフラや環境の整備状況の6つです。これらの基準を満たしたのが、宮城県仙台市、愛知県、秋田県仙北市です。

 仙台市は地域限定で働く保育士資格「地域限定保育士(仮称)」の導入や、待機児童の解消に向けた都市公園内での保育所設置の解禁を提案しました。またNPO法人を含めた起業手続きの簡素化なども掲げています。具体的には現在申請書類の縦覧期間が2カ月必要ですが、それを2週間程度に縮めるというものです。

 愛知県は2016年に開校する公立学校「県立愛知総合工科高等学校専攻科」の運営を民間に委託して、製造業の担い手を育てるプロジェクトに取り組みます。企業と大学が積極的に連携することで、企業のニーズを把握したうえで的確な学校運営を行い、次世代産業技術に対応できる人材育成を目指しています。
 
 仙北市は温泉を使った医療ツーリズムを推進します。そのために小規模の診療所における外国人医師の診療を解禁したり、外国語が話せる医師を確保したりするなど、海外からの観光客を集める取り組みを行います。それに加えドローン(無人航空機)について、国有林での実証実験に向けた制度整備などを目指しています。医療、観光開発のための改革も予定されていて、具体的には国立公園内での岩盤浴場を解禁、規制緩和を行って免税店の開設を促進、市町村認可によるバスを運行するなどの計画があります。 

 3地域の中で、最も評価が高かったのがこの仙北市です。3地域の中で唯一の過疎自治体であり、住民の高齢化も進んでいる同市ですが、地方創生のモデルケースとして期待されています。なぜなら、宮城県仙台市、愛知県はいうまでもなく大都市(圏)です。しかし自治体の多くは、大都市(圏)ではなく、人口減少や高齢化に悩んでいます。その多くの自治体の代表として、仙北市は熱い注目を浴びているのです。

仙北市の経済活性化の可能性を探る

 仙北市は医療ツーリズムを推進するとしています。この医療ツーリズムとは、住んでいる国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービス(診断や治療など)を受けることです。

 仙北市が目指すのは、国内はもちろん海外からも湯治客が長期滞在する保養地です。海外にはドイツのバーデン・バーデン、アメリカのボルダーやイタリアのイスキアといった医療ツーリズムで有名な街がいくつもあります。これらの街は、全体が一つの医療センターとなっており、温泉療法から始まり運動療法、泥治療、マッサージなど多種多様な医療サービスを受けられます。その日本版を仙北市に作ろうというのです。

 台湾やフィリピン、タイのように雪の降らない国の人々からすれば、雪の温泉は魅力的ですが、温泉を別にすると、医療機関は現状では充実しているとはいえないようです。

 たとえば市立角館総合病院は地域の看板病院として機能していますが、高難度手術の実施回数などを見る限り、県内トップクラスの病院とはいえないという声もあります。したがって、仙北市の経済が活性化するかどうかは未知数と言わざるを得ません。しかしながら、同市の「挑戦」は全国の特に人口減少や高齢化に悩む自治体から、注目され期待されています。活性化への道は険しいですが、世界に誇れる保養地を目指しているのです。

>> 【nezasスカウト限定】地域金融機関の求人を今すぐ「無料」で見る